八ヶ岳南麓における地球温暖化現象は、前回の発表の「八ヶ岳南麓における晴天率と地球温暖化」の発表時よりもより鮮明に現れてきています。今回は、多くの方からの聞き取り調査と、前回の調査を比較しながら、新しい現象が発生しておりますので御知らせするとともに、地球温暖化の進捗状況を皆さんも確認していただき、地球温暖化現象が他人事ではないことを確認していただきたいのです。
ここ八ヶ岳南麓における地球温暖化現象を一番感じるのは、冬場の降雪時の雪質の変化で、十年前ではパウダースノーの雪質で、雪遊びをしても衣服が濡れることはほとんどなく、雪が衣服に付いても払い落とせば衣服が濡れることはほとんどなかったが、近年は雪質がパウダースノーから水分の多いベタ雪になり、防水加工の衣服でも濡れてしまうほどの水分の多い雪質に変化しました。
結果として、ベタ雪により衣服が濡れることを嫌いスキー客が減少するのを各スキー場とも、雪質改善のために人工降雪機を導入して、雪質を確保しているが、衣服が濡れることを嫌うスキー客の減少に対して完全防水に近いスノーボーダーがスキー客に取って代わりつつあるが、客層が狭いためにスキー場の経営を圧迫する結果となり、現在に至っている。スキー場の経営努力にも関わらず、降雪量や雪質の変化とともに、気温の上昇によりスキー場の本来の営業期間が短くなり、夏期におけるスキー場の収益を考えないと冬期のスキー場経営が成り立たない事態になっている。
冬場のスキー客に期待した宿泊施設は大きな打撃を受け、新たな集客方法を見つけなければ、経営の危機に面している。
地球温暖化が冬季における商業に影響を及ぼす反面、夏季におけるヒートアイランド現象からの脱出を図る人々が八ヶ岳南麓に集まりつつあるのも事実です。ここ数年、都会から夏季だけ脱出して、長期間にわたり八ヶ岳南麓で過ごす方々が多く見られるのも事実。
冬季における最低気温が標高1000メートル付近では、10年前であればマイナス15度は当たり前であったが、ここ5年間は数えるほどに減少し、私どもの900メートル付近では、マイナス10度以下になることがほとんど無くなってしまった。
このように、温暖化と思われる気温の上昇が続いており、本年度は私どものところでも、夏場に気温が30度を超える日を数日観測いたしました。これら気温の上昇により、生物大系に大きな変化を見ることがありました。私どもの付近は稲作の標高限界といわれており、夏場には大量のウンカ(半翅目の昆虫でイネの害虫が多い)の発生があり、夜のドライブをしたときなどは、洗車が大変だったが近年その数は減り、今年はウンカの大量発生をついに見ることが無く、窓に取り付けた網戸でウンカの飛来を確認したのは、ごく数匹にとどまった。稲作地帯では、害虫であるウンカの発生が無くなり
うれしいことではあるが、稲作地帯において、大きく生態系が崩れたことを表していおります。
稲作地帯での変化は、昆虫界では大きく変化しており、ホタルの発生が6月上旬から始まり8月まで観測できましたが、ホタルの個体数と発生場所が水質の改善と下水道の整備により数多くの場所で確認されましたが、ホタルの発生とともに見物に来られる方々のマナーの悪さに考えさせられます。
いたる処にコンビニ等の袋や、空き缶を捨てていき、ホタルの生育環境の悪化をまねいておりますし、呆れ果てたのは、虫かごと捕虫網でホタルを捕獲し、持ち去る姿が横行していたことです。
私どものところでは、ホタルの発生場所には関係者のみ立ち入りを許可しておりますが、多くの場所では自由に立ち入ることができるために、見物にこられているお子さんの保護者自らが率先してホタルの捕獲に走り回っておられ、田んぼや周りのあぜ道を踏み荒らすので土地所有者が注意すると、『虫を捕って何が悪い、ホタルに所有者の名前が書いてあるのか』と言って食って掛かります。
このような姿が横行するのであれば、自然保護の観点と耕作地を守る観点から電撃保護策等の設置を考えなくてはなりません。
電撃保護策は、最後の手段としてとっておき、何らかの方法が必要になってきているのが事実です。
地球温暖化とは関係がない動物の移動に対してですが、近年のペットブームにより、ペットをつれて散歩や散策なさる方を多く見かけることがありますが、散策や散歩時のペットの糞尿やマーキングに対して、飼い主が何もせずに立ち去り、後には糞尿による異臭が立ちこめ、糞尿による環境汚染が発生している場所をたくさん確認いたします。北杜市においては、ペットの放し飼いは禁止されており、散歩中にペットを放した場合は違法行為となります。飼い主の皆さん散歩中や散策中にペットを放さないように御願いいたします。一部の不心得の人のために多くの人が傷つき、多くの良識あるペット飼育者が不利益を被ることになります。
次に、野生化しているペット問題と病気についてお知らせしペット問題を終わりたいと思います。
地球温暖化に伴い植物の生息状況の変化とともに、動物の移動が頻繁になってきていることが植生から判断出来ますのでお知らせいたします。前回の八ヶ岳南麓での温暖化現象についての原稿の中でも触れましたが、海抜900メート付近において、マタタビ科の猿ナシの異常繁殖を見ることができ、小鳥などの小動物により捕食された種子が広範囲にわたり広がっており、捕食動物の行動が活発になっていることが読み取れるとともに、小動物を介した病原菌が広がりペットへの感染が懸念されますので飼い主の皆さんは、散歩や散策時には注意が必要となり、ペットの健康管理に気を付けてください。
ペットの管理において、必ずあるのがペットの廃棄問題です。
秋から冬にかけて、森林を散策すると見慣れない小動物を森林で確認することがあります。小型の鳥類から犬まで本来居るはずの無い場所で確認でき驚かされる場合があります。ここ八ヶ岳南麓では近年鹿が自然保護により増えており、食害が発生したり、野生化した犬が鹿を追い回すのを目撃することがありましたが、野生化した野良犬は駆除作業が功をそうし野犬は減りましたが、心ない飼い主により野犬になるペットが増えるのもこれからです。
不心得な散策者
八ヶ岳南麓のほとんどが個人の所有地で、一般の方の立ち入りには所有者の許可が無いと、むやみに立ち入ることは出来ないことを八ヶ岳南麓に居住する人々には知られておりません。
古くから居住する人々の間では、双方の持ち山に立ち入るのに許可を一々取り付けるより、暗黙の了解で双方が立ち入ることが出来るとしてきましたが、このことが新住民に誤解され、資格の無い人々が野山や畑や放牧地に無許可で立ち入り、山菜を持ち去ります。
近頃は山菜だけではなく、自生する高山植物やツツジ等ガーデニングに使えそうな木々はたちどころに無くなり、新しく道路が整備されるごとにその周辺に自生する植物や木々が犠牲になり、キノコ類は子孫を増やすために胞子の散乱が出来ないビニール袋で採取するために激減しております。昔は、竹籠でキノコを採取したために編み目から胞子の散乱がありましたが、ビニール袋では胞子の散乱はありません。心あるならばビニール袋に小さな穴を開けて胞子が散乱する工夫を御願いしたいのです。
私どものところでも、小さな沢にわさびを植え付けておりますが、昨年と今年は不心得者に持ち去られ収穫することが出来ません。
驚いたのは、近県ナンバーや他県ナンバーの乗用車が私どもの駐車スペースに車を止めて、私どもの畑から山菜を採取し持ち去ろうとしていた場面に出会わせ、採取者数人に厳重注意をいたしました。
彼らの言い分によると、山だと思ったとのことでしたが、私が手入れを行い道まで整備し、自然状態で栽培していた山菜が無惨にも根こそぎ引き抜かれ荒れ果てていました。山菜は通常、自然状態で栽培しないと生育しないことを彼らは、いい年をして知らないと言っていました。現在ではそれらの場所には警告板を配置し、無断で立ち入った場合は、警察に届けることにいたしました。
警告板を見た地域の人々や長老は、悲しい時代になってしまったな、山菜も、農作物もネットを張って作る時代になったかとぼやいておりました。
環境問題として、八ヶ岳南麓における現状と地球温暖化の進捗状況をお知らせしてまいりましたが、世界に目を向けると高緯度地域に点在する氷河の著しい後退や、極地における氷河の溶け出しや、永久凍土の溶け出しにより、凍土内部に隠されていたマンモスの頭部が発見され発掘されたマンモスの頭部が愛知万博で紹介されていますが、地球温暖化の進捗により発見されたことについては紹介がないようです。(それらの記述を見た方はありますか?)
環境に優しい万博と開催された愛知万博ではありますが、一度も足を運ぶことがなかった私が批判するのはどうかと思いますが、大阪万博に沸いた時と同じような未来への期待に、みなさまは出会えましたでしょうか?
愛知万博はイベントなのか、博覧会なのか、私は環境博覧会と記憶しておりましたがなぜか疑問が残る博覧会で、現在地球上で進行している地球温暖化現象の予兆を紹介しているところが無いように見えてしまい未来に何を伝える万博なのでしょうか?
熱帯低気圧の大型化や海面上昇、都市部におけるヒートアイランド現象が進む中において、それらに対応する方法や対策を紹介しても良かったのではと思うのは、私だけ?。
八ヶ岳南麓の山の中に住む私には、近年の気温上昇による変化をいたるところで確認でき、身の周りに感じとることになります。
都会で暮らす皆様はいかがでしょうか?
地球温暖化の進行は今まで以上に大きな変化となり、皆様を襲うことになります。自然現象の変化を甘く見ないで、的確に変化を読み取る知識が必要となりますが、知識だけでは対応できないのが自然現象です。経験と知識を活用し、自然現象の変化に対応するすべを私たちは、身に付け行動しなくてはならない時代に突入したようです。