季節は、夏から秋へと足早に進み、母の体調変化も大きな崩れは無く、昨年と同に様に、冬支度の準備を始めた頃、母の異常な寒がりに気がつきました。
ちょうど、母の定期検診の時に、担当の先生にお話をしたところ、術後の部位には問題は見当たらないので順調に経過しています。問題はあまり無いように思いますが、急激な動作はさけてくださいとの注意があり、母は、さほど気にもしていませんでした。それよりも、夏場の草の成長が気になり、私に隠れて庭先の草むしりをしていたくらいです。私に言わせると、これは、いたずらが過ぎるので、止めるように言うと、逆に反発して『少しくらいの運動はしたほうが良い、運動をして何が悪い』と反発する始末。私が、外出や、農作業に出かけると、それを待っているかのように庭先に出る母、幾度か口喧嘩をしながら日々は過ぎ、外は寒くなってくると、母の反抗も無くなると同時に、草の生長も止まり、母のいたずら、庭先の草むしりも終了いたしました。
また、週2回の訪問看護を御願いしておいたので、少しは気がまぎれたのもあったのか、体調は順調に回復していましたが、やはり、寒さには、敏感な体となりました。私と同じく、寒さに敏感な体になった母は、夜間ベッドで眠る時足下に、電気アンカと湯たんぽ、の併用です。私としては、低温火傷が心配ですが、母は、それぞれの暖房装置にタオルで幾重にも包み込み、温度調節をしていました。朝、それらを見てみると、足下には無く、ベッドの角に追いやられています。それぞれの足の温度センサーは異常がなく、正常に機能しているようです。また、布団を重ねて掛けているので、圧迫されているので掛け過ぎというと、重くなくては、布団ではないと言い、羽毛布団を2枚掛けた上からさらに布団を掛けているので、動きがとれないのではと、心配すると、帰ってくる言葉は『私が寒いのだから、どうしようと私の勝手だ』と言い、布団に潜ります。
昨年と同様に、母の居る部屋は、防寒対策として、室内にカーペットを敷き、部屋の各引き戸には、厚手のビニールを取り付け、ガラスサッシには、凍結防止と、保温対策で、プチプシートを両面テープで取り付けました。
結果は、真冬時に外気温マイナス7度の時、オイルヒーター400Wで室温10度、800Wで室温15度、暖房時で室温23度を実現する事ができました。
廊下と室温の差があまり大きくならないように、温度管理をするのが難しく、母は、体調が不良の時や、天候の急変時にはベッドの中に潜り込みます。
その姿を見た私がつけたあだ名は『みの虫』でした。
母は、けっこうこの呼び名が気に入っているらしく、訪問者があるたびに「私がこの呼び名を呼び、私を馬鹿にする」と話していました。
このような会話を日々繰り返しながら、無事に寒い冬を通り過ぎる事ができました。春になり、介護認定があり、認定時のアドバイスで訪問看護を利用する事にしました。この訪問介護を利用するのにも母の抵抗があり、どうしても、お金が気になるらしく、最初は利用するのを嫌がります。私としては、介護生活に第三者が加わる事で、精神的安定を期待しましたが、母にはなかなか理解されず、なかば、強引に制度を利用する事をケアマネージャーの協力のもと週2回の利用をはじめました。利用を開始してからは、週2回の訪問看護を楽しみに、過ごす日々となりました。母には良い刺激となり、生活改善に繋がりました。母への訪問介護師さんの主な仕事は、体調管理はもとより、運動不足になりがちで、便秘に苦しんでいた母の症状改善です。室内の運動からはじめ、筋力を付けて転倒防止をはかるために、付き添っての歩行訓練と母の愚痴対談と精神的ケアーにつなげる事です。訪問介護を利用するようになってから、母と私の会話の話題に介護師さんが加わる事で、些細な事で口論となっていた母との会話が、多少は改善され、口喧嘩の回数が減少してきたかな。
それとともに、便秘で苦しむ回数も減って行き、生活改善効果が出てきました。
ただし、体調が、すぐれなかったり、天候が急激に変化した場合は、ベッドで横になり、みの虫スタイルになっています。とくに寒さは身にこたえるようです。早く春が来ないかと、庭先の椿の花を待っています。昨年は、年末までおおむね暖かく、本格的な寒さがやってきたのは1月になってからでした。
寒さが増すにつれ、運動不足から来ると思われる便秘の症状が悪化し、おなかの調子がおかしい、おなかが張る、下剤を飲むと自分から排便の調整をするようになり、朝の会話は、食事時であろうが、排便の話題となって行きました。
排便コントロールは、下剤を訪問看護師と相談しながら、服用するようになってから、急激な下痢症状が出ずにすんでいますが、たまに、急激な下痢となり、本人も苦しむ事がありますが、私としては打つ手は無く、水分を十分摂取するように、口頭での注意を促す程度です。おなかが張るのは、苦しいもので、私もたびたび経験しますが、どんな体位をとっても、排便がスムースに行われるまで続きますので、年齢によっては、細心の注意をしないと、腸閉塞になる事があるので、最大限の注意が必要です。2月、3月は、このような体調管理が主なる介護で、食事の摂取する品目を管理して、できるだけ消化がよく、排便コントロールがしやすいように、献立に注意し、果物と野菜の摂取に重点を置いた食生活に努力しました。
春が、そこまで訪れてきた時、突然の容態急変に襲われました。
朝、いつものように食事の準備をし、母の食事を用意し、その間に母は、身支度を整え、食卓に着くのですが、洗面所から戻ってきた母が体調不良を訴え食事を摂ろうとしないのです。少し横になってから食事にする。といって、ベッドに横になり、私の食事のようすを見ながら、あくびをしています。
私が食事をした後、食事が冷めないうちに、摂るように言うと「食べたくない」と言い、食事を摂ろうとしませんので、果物を進めますが、これも嫌がります。
食事の後に、血圧の薬や、その他の薬も飲む事になっているので、なんとか、軽く食事をして、薬を飲めるようにしなくては、と思うのですが、本人も体が自由にならず、苦しんでいるので、病院に行く事を進めますが、これも拒否。
結局、母は、症状が落ち着くまで、みの虫で通すつもりのようですが、一向に快方には向かわず、ますます症状が悪化する一方で、私の説得では病院につれて行くのは難しいので、訪問看護師さんを御願いして、母の説得を試みましたが母は拒否、そうこうしているうちに病状が進行し、完全に動けなくなり、救急車で病院に向かう事になりました。母が動く事ができなかったので、みの虫スタイルのまま救急搬送され、かかりつけの病院へ
『ここで大珍事が発生』
母を運んできた救急車は、一向に治療を受ける事ができずに、処置室の前で待機。何が起きたのか、救急隊員にも分かりませんでした。
結局、治療が開始されたのは、到着後かなりの時間が経過してからになりましたが、治療を開始した時に、担当医師の説明があり、驚きました。
母と、同性、同名、年齢までも似通っており、病状もほとんど同じで二人が、ほぼ同時に搬送され、入院したために、起きた混乱で、事務系統と看護系統の連絡混乱と、担当医師不足と治療優先順位の確認等から治療の遅れを招いた事が判明いたしました。母は、治療の開始から間もなくすると症状の改善が見られ、短期の入院をする事になりましたが、治療の効果は一日経つと、いつもの母の毒舌が飛び出すほどに効果が現れ、入院時の症状を共有した母を担当する訪問看護師さんたちが、心配して病室を代わる代わる訪れるころには、いつもの母に戻っていました。母の口からは『こんなところはいやだ、家に帰る』が飛び出し、みんなの心配をよそに、毒舌を吐いていました。
後日、今回の出来事から、院内の連絡系統を見直す事に繋がりました。
入院は、一週間を予定していましたが、担当医師への強力な母の要望攻撃で、一週間が少し、短くなり、無事に自宅に戻る事ができました。
退院を早めた理由は「こんなところ(病室)に居るのは嫌だ」という事からでした。
今年は、初めての入院だったのですが、度重なる経験から、入院に際しては、母の入院セットを用意して、ある程度安心していましたが、母の好奇心から、用意してあった、入院セットの中身が変えられ、入院してから必要なものをそろえなくてはならず、右往左往しながら、あわてました。
現在では、入院セットは、すぐに持ち出せる場所に用意してあり、中身も私が再確認して、準備してあります。
そんな春の珍事があり、庭先にも春の気配とともに、また私の心配事が始まっていました。実は、わたくし、太り過ぎでメタボと言われました。
後日、わかった事ですが、介護をしている人が一度は見舞われる、ストレス性過食症候群とでも言いましょうか、口喧嘩などの後に、ついつい食べ物を口に運んでしまう症状なのだ、そうです。今シーズンは五キロほど太りました。
また逆の場合もあるので、自宅介護で、ストレスをためている方、一度は体重計をご確認あれ。(そんな訳で、現在減量に挑戦中ですが、ストレスが増大中)
一休み(写真 3014)
更なる珍事発生
私の知人である、別荘の主から、暖かくなってきたので、別荘に来たので後で『お茶たいむ』をしようと、誘いの電話がありましたが、農作業に追われているので、後でと言って電話を切り、農作業に没頭して二日ほど経ったとき知人からの電話『体調を崩したので来てほしい』大急ぎで駆けつけると、ベッドの縁に座り込み、嘔吐した知人が途方に暮れている。
症状を確認すると、母に、よく似た症状で、体調に異常を感じてからの時間は経過していたが、意識がハッキリしていたので、会話は、できるので、救急車を呼ぶ事にしました。とは言ったものの、救急車がこの別荘までの道順が、わかる訳は無く、携帯電話片手に目標物の有る場所で待つ事にしました。
救急車が到着する少し前に到着していたので、救急車に手を振り、迎えにきている事を伝え、先導する事を伝えていると、近くの人が集まってきたので、消音して、別荘に向かいました。私が別荘につくと、ついてくるはずの救急車が舗装の終わりで止まって、救急隊員が走ってきます。私は、わけがわからず、迎えに行くと、救急車が安全に入ってこられるかと、安全に方向転換する場所があるかを確認しながら来た事がわかりました。庭が広く安全である事を伝え、無線で救急車に連絡して、救急車が別荘に無事到着。
(安全確認が第一で、安全でないと病人を搬送することがでません)
知人の容態を確認してもらい、近くの病院に搬送するように御願いしましたが、搬送先の病院は、30分後に本部の問い合わせに連絡くださいとの事でしたので大急ぎで、知人のご子息へ、お父上が救急搬送された事を伝えました。
病院の確認ができたので、病院に行くと、処置室で点滴を受けている友人を発見、するとそこには、見慣れた先生が、開口一番「お母さんはそのごどう」のお言葉、今回は、知人がお世話になります。と挨拶すると「意識もしっかりしているし、少し入院してようすを見ましょう」簡単に症状の説明をしていただき、入院手続きをと言う事になりましたが、親族ではないので、ご子息がこちらに向かっている事を伝えて、到着次第に手続きをする事が必要である事を、ご子息に伝えますのでと言う事で、入院できる事になりました。
夕方には、ご子息が到着する事がわかり、知人に伝えると『僕は、どうしちゃったんだろう』と不思議がっていました。
体調を崩す前後の様子を、よくよく聞くと、東京から別荘に到着したその日から、ガーデニングを始め、かなり無理をしながら庭先を手入れしたようです。
今回の体調を崩した原因は、別荘に来てから急激に体を動かしたために、病状が悪化した事がわかり、あとは、服用している薬の種類等を確かめなければ、治療ができないので、わかりますかと、尋ねると、健康手帳に記入してあります。と知人がバッグの中から出しました。病院の医師と確認すると、そこには処方箋が貼付けてあり、直ちに治療を開始する事ができました。
入院の必需品、日頃の病状や服用している投薬を記録した資料があると、スムースに治療が開始でき、不必要な検査をしなくてすむ事がわかりました。
高齢者や介護が必要な人が居る場合や、治療が緊急に必要な病状の方は、常日頃から、ご自身の体調管理状態を記録した手帳を身に付けている事が、大切である事を、今回、経験いたしました。
知人も無事退院し、ご子息に付き添われ東京へと戻って行きました。
数日後、知人から電話『自宅軟禁になっています。体力が回復したならば、そちらに行きたい』と電話先で退屈さを伝えてきます。
我が母と同じ、自宅軟禁は、二人とも不可能な事であるように感じました。
母の方が、知人よりも先に元気になり、私のストレスが溜まる行動をしだします。医師より止められている、庭先での草むしり、私がいくら言っても『少しぐらいの運動は体に必要だ』の一点張り、結局この事がすべての口喧嘩の元になり、生活環境が悪化して行きます。
天候が不順であると安心して、仕事ができますが、好天だと、母が何をするかわかりません。歩行器を使いながらでも草むしりをしだし、歩行器が汚れているので私が注意すると、杖や歩行器を使わず、とこからか鎌を見つけ出し、草取りをはじめて、私が帰ってくると知らぬ顔のはんべえを決め込んでいますが、さすがに腰が痛いらしく、横になっています。
腰の神経を痛めるので、草むしりは、止めるように言うと、すごい形相で反発します。毎日これでは、ストレスが溜まります。
今日このごろは、訪問看護師さんが運動は必要だからと言っていたと、自分の症状を悪化させる姿勢で行う、草むしりを正当化します。
まるで、前が見えない道に突っ込んで行くようなこんな気持ちです。
(写真 3036 )
行き先と道はわかっていても、周りが見えない。
そんな時は、電話をかけまくり、愚痴を聞いてくれるところを持ちましょう。
我が家の場合は、妹になりますが、現在こちらも私のところと同じような境遇にあり、どちらも大変だ、で、電話が終わります。
人間て、欲望の固まりですな。
寝たきりだと、起きれるようになればいい。起きれるようになると、歩ければいい。歩けるようになれば、運動ができればいい。
健康になれば、これらをすべて忘れてしまう。
介護は、今どの段階にいるのだろう、本人に自分の病気の自覚が無ければ、無理をしたならば、歩ける人も動けなくなる。これが、老人介護の難しいところでしょうか。
今回の閉めは、介護現場の愚痴で終わります。 書いて少しは晴れたぞー。
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