HOME > News > 日本国内での気候変動2015

日本国内での気候変動2015

30年間を比較


こちらの気象庁発表の記録を比較確認してください。

30年間の6月〜8月の平均温度と降水量平年比と日照時間平年比を比べてみました。ここで、確認したいことは、平均気温平年差が、30年と言う単位で比較してみると、日本列島の中心付近に分布してあった温度差のあまりない地域が、明確になり、特に、日照時間と連動していないと読み取ることができることです。では、海水温からは、どんなことが読み取れるでしょうか。

30年間の海水温の変化を見てみると、日本近海で、9月の初旬に高温の海水域が日本列島に接近しているのが読み取れます。特に北海道東方の冷水塊の面積の縮小が際立っているのを確認できます。2000年頃から2015年までの間で、高温水海域が日本周辺で広範囲に広がり、海水温15度〜20度の海域が極端に減少して行っているので、漁業資源の枯渇が心配になります。それとともに、人口増加の途上国による海洋資源の争奪が始まっており、特に遠洋業においては、経済性が優先され、獲れるだけ獲るが主流になっており、海洋漁業資源の枯渇が始まっています。過去、日本では、ハタハタやニシンの獲りすぎにより沿岸漁業が壊滅し、その反省の基に、資源確保と稚魚の生育環境の保全などにより、失われた魚種が戻って来ています。特に代表的なものはサケになります。
稚魚の放流により、河川への遡上も見られようになり、自然環境のバロメーターにもなっています。獲る漁業から育てる漁業を行っても、日本に戻ってくる前に獲られてしまうことを考えると、沿岸漁業への対策が急務となりつつあり、漁業資源の確保の点からも、陸上養殖の必要性が急務になっているのが確認でき、特に、冷水塊での稚魚の孵化や、幼魚の育成の研究は、早急に対処しないと、沿岸漁業や、遠洋漁業は壊滅的な打撃を受ける可能性が高く、漁業資源の争奪による争いが始まっている現在、それらに対応しうる新しい魚種の開発が、必要です。この観点からも、陸上養殖の必要性が増しているのです。


話を戻し、海面温度の高温域の拡大と共にそれらに伴う海面温度の上昇を考えてみたいと思います。
統計期間 1908〜2014年(気象庁資料)

日本を囲む海域を色分けしたブロック13海域のごとの海域平均値を、各海域の面積に応じて、重みを付けて平均した値を表したものです。
各、季節ごとに比較をしてみると、統計期間100年間において、どの季節においても、海水面の温度は、上昇しており、日本周囲を回遊する回遊魚の魚種の変化と、沿岸魚の魚種変化は、高温海の広がりにより免れないことが確認できます。これらの影響は、海だけにおさまらず、日本列島全体に対しても、温度上昇を招き、100年間で、日本列島全体温度の年間平均温度を1度以上の上昇を招き、温暖化を着実に進めているのです。

気温上昇に伴う気候変動

大気中の空気の急激な上昇により発生するのが積乱雲ですが、近年、積乱雲の発達が急激になり、局地的であるが、台風並みの発達をし、局地的な被害を発生させるスーパーセルと言われる積乱雲を作り出します。(ネット画像)

通常は、対流圏界面で、きのこの傘のように広がるのですが、スーパーセルまで発達すると、成層圏まで到達し、地表の気圧の10分の一まで低くなり、上昇気流の上昇速度は想像を絶する速度になると思われます。
結果として、局地的に台風並みの発達となり、その中心部においては、竜巻を形成する程の発達をすることになります。通常、台風の目と言われる部分の直径は数十kmになりますので中心部の気圧は安定しますが、局所的なスーパーセルの場合は、数メートル範囲で極端な上昇気流のストローが発生し、地表に到達すると、竜巻になりますので、破壊力は強力なものになります。
通常、竜巻を形成する積乱雲の発達は、上空と地表面(海面)の温度差が大きい時に発達するわけですが、近年の日本列島周辺の海面温度の上昇は、内陸性気候と同じように地表面に温度上昇を招き、上空に冷気が入った場合は、爆発的な発達を招き、ゲリラ豪雨、竜巻の発生を招く結果となります。
地球温暖化は、暖かくなって、暮らしやすい反面、気象現象においては、急激で、激しい気象変化を招くので、今までの経験では、比較できないものとなっており、言い伝え等で語り告げられてきた、大雨等の大きな災害現象が日常的に起きる状況になっていることを、常に心得て、生活することを求められています。


詳しくは、『日本の気候変動とその影響』(2012年度版)を御覧下さい。
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/rep130412/report_full.pdf


今回の、鬼怒川決壊は、当初から懸念されていた地域での発生でした。
その地域に、暮らしている住民へのハザードマップが有るにもかかわらず、生かせなかったことの地域行政麻痺の責任は、今回の対応から判断でき、行政サイドの危機管理能力の低さが、拠点となる施設の水没により、地域行政活動の停止まで招いております。このことは、東京都心に広がる海抜0m地帯において、地震対策では、注目を浴びていますが、地震だけではなく、今回の鬼怒川のように、上流域での豪雨と、巨大低気圧の接近によっても、引き起こされる高潮等も、常に考えて、生活することを求められているのです。

東京中心部での冠水予想図


    冠水予想図        道路図  (ネット画像)

都心を流れる河川が氾濫した場合を想定して、同時縮尺で冠水地域と冠水無しの地図を並べてみましたので、ご確認下さい。
この他、地下街や地下鉄の線路に沿っての冠水や、河川、道路、地下トンネル部分の冠水は表してありませんのでご注意下さい。


冠水予想区域は、人口密集地帯であるため、救出活動は、冠水が発生時から始まりますが、対象人口が多いので、鬼怒川決壊の常総市のようには行きません。
冠水開始とともに、一刻も早く高所への移動が、唯一の対応手段となります。
地下街や低地では、素早く地表に出て、高所への脱出が生死の境目となります。
冠水速度は、低地ほど早くなりますので、自分の位置を確認することと、携帯等での通信は、混雑から通信不能になることが判明していますので、情報の確認を中心に使用して、バッテリーの消耗をできるだけ少なくし、通信手段の確保に注意しましょう。
冠水は、東京だけの問題ではありません。次に大阪を見てみましょう。
 大阪の問題点は、流域河川の多さにと、主水源の琵琶湖にあります。
上流部での増水は、琵琶湖で受け止めていますが、広域範囲に豪雨が及んだ場合には、最も低地である大阪府を直撃するコースになることです。
もし、冠水が発生したならば、その期間は、長期に渡り、都市機能を奪うことになり、場所によっては冠水の深さが5mを超えて発生する予測もあり大阪地区の淀川の冠水は東京同様人口密集地にあり、大都市の脆弱性を秘めており、普段からの対策を、今、一度感考え、災害に備える必要な時期に来ていることをお知らせ致します。冠水予想図はこちらになります。 


詳細な画像は、「淀川水系 宇治川・宇治川・木津川・桂川 洪水予想図」を淀川河川事務所→淀川の取り組み→浸水想定区域PDFをダウンロードしてご確認下さい。
(ネット画像)
冠水は、大都市だけの問題ではありません。各地域で発表されている
ハザードマップを、今一度ご確認下さい。


冠水より、交通手段は、各自の徒歩が主なものになりますので、移動時は、安全確保が第一になります。安全な場所(標高5メートル以上・地下を除く、低地では地表から6m以上)の場所が確保できている場合は、無理をせず、周囲の安全が確認できる時間になってからの移動が一番です。水深が50センチある場所で、流れがあるようであれば、大人でも流される危険がありますので、足を取られないように移動を考えなくてはなりません。特に、夜間は危険が多いので、冠水から高所に避難できているのであれば、明るくなるのを待って、安全な場所に移動してください。

安 全 確 保 (護身)



安全な場所を求めての移動に、危険がつきまとうのが、冠水初期と冠水安定期に発生致します。冠水初期は、流水による危険です。特に低地に取り残される、閉じ込めによる危険です。これらは、周囲の協力があれば初期対応は可能ですが、冠水が広範囲に及びますので、各自の初期行動が大切なファクターになります。普段から、自身の通勤や居住地のハザードマップ等の確認をしておき、家族と移動時の対応方法を決めておく必要が発生しています。
鬼怒川氾濫では、避難指示メールや避難指示が該当地域に届かなかったことが判明しておりますので、時間帯によっては、都内での冠水情報も冠水予想地域全体に届くとは思われません。
今回の冠水予想図において、広範囲における大停電も発生致しますので、エレベーター等の使用は避け、閉じ込め等の発生が冠水当初から予測できますので、移動手段は停電を予測した移動が大切になります。
車での移動は、渋滞により不可能なものになりますので、安全な場所を発見したならば、速やかに徒歩での移動が大切なりますので、灯りと、水、最低限の食糧等を持っての移動が望ましい。(移動時は、両手が使える状態で)特に、履物には注意が必要で、職場にも動きやすい靴を用意してください。
治安維持は、警察、消防とも不可能になりますので、このような大規模冠水には、治安維活動の必要性が出てまいります。現に、鬼怒川氾濫により冠水地帯での空き巣、不審活動が確認されていますので、このような大規模冠水においては、現在、進めているマイナンバーカードを持っての移動が本人確認を容易にし、警察等へ提示しての行動が自己の保身に繋がることを覚えていてください。
将来的には、マイナンバーカードの情報により犯罪抑止にも利用可能になると思われます。(マイナンバーカードでは、緊急時の場合に本人確認と財産確認が可能になる予定です。)
運転免許証や保険証よりも、マイナンバーカードが大切になる時代ですので、将来、非常時の絶対携行品として、心得ておくことが大切です。


都市部での時間当りの雨量排水量は、50ミリから70ミリに見直されていますが、想定される広範囲にわたっての長時間豪雨の場合には、都市部においては、時間雨量70ミリを超えた地点から、急速に危険度が高まりますので、関係各方面からの情報を適切に判断して、対策を取られることを期待致します。

温暖化に伴う生物繁殖(昆虫)と森林



こちらの写真は、我が家から東の山裾を眺めたもので、写真中央部が赤く変色している山林を捉えています。右の写真は、赤く変色した山林に近寄って確認した写真です。
山を赤く変色させた原因は、松食い虫(マツノゼイセンチュウ)が赤松の林を赤く枯れさせていたのです。松食い虫の被害は、明治38年に九州で確認され、
温暖化の進行に合わせて、平成25年には青森県まで広がっていて、私が住んでいる北杜市においては、標高で500m〜1000mの標高帯の中で、爆発的に繁殖しており、今後数年で、赤松の山林は、無くなってしまい、山林火災の発生が危惧される事態となっています。冒頭に紹介した日本列島の温度分布が全体的に1度〜2度平均温度が上昇したならば、植物界では、今まで知られていなかった温暖化による生態系の広がりにより、自然破壊が進行することになるのです。
気候変動が植物界に挑んでいる例として、もう一つ紹介致します。

ナラ枯れの被害です。



こちらは、ナラの木を餌とするカシノナガキクイムシにより、樹木の中を移動し、餌の酵母や樹木を枯らすナラ菌の繁殖を広めナラの木を枯らします。
特に注意したいのは、この枯れた木に発生する問われるキノコがあります。
カエンタケと言われる猛毒キノコです。
特徴は、赤く、炎が上がるように見えるのが特徴で、素手で触ったりすると、触った部分には、痛みとともに炎症をおこし、激痛をともないます。
特に、摂取によっては、生命を奪うほどの毒性を持っているので、見かけたならば、管轄する役所に連絡するとともに、注意をしましょう。
実際の写真がこちらにありますのでご確認下さい。


http://image.search.yahoo.co.jp/search?rkf=2&ei=UTF-8&p=カエンタケ
http://www.city.ikoma.lg.jp/kashitsu/03600/16/documents/27071505.pdf




ナラ枯れの木や株に発生することが多いので、注意を呼びかけています。
こちらも、松食い虫同様に
温暖化とともに全国に広がっていますので、キノコシーズンでなくても、ナラの古木やかれたナラの木があればカエンタケの発生がある場合も報告されていますので注意してください。
(ネット画像)



さわるだけでも皮膚がただれる。摂取の場合は死亡する。



ナラ枯れの分布は次のようになっています。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/hogo/pdf/150717-06.pdf
のナラ枯れでご確認下さい。


これら2例は、温暖化により、昆虫の活動範囲が急激に広がった為に起きている自然現象と言って良いのです。私たちは、温暖化と言う気候変動にどのように順応して行くかを求められていると言っても過言ではありません。


今一度こちらも読み直してください。
https://asakawa-sun.com/previous/news/20141015.html
日本列島近海の海水温度の上昇は、思わぬところで、私たちに牙を剥いてきます。このまま、日本列島近海の温度上昇が続けば、私たちの食卓から、なじみのある魚が、消えて行くことになります。漁業資源と言う面においても、温暖化は、牙をあらわしており、それに対応した資源開発が急務になって来ており、近畿大学の取組みに期待が集まっています。(Newton別冊などで紹介)
国内の各大学において、資源確保についての研究がなされていますが、研究期間が長期に渡る農学分野では、研究者の育成が大切な資源となっていますので、私たちの理解が必要なことをお知らせして、ここまでと致します。

2015.09
浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男




なお本文中で使用した、ネット画像や写真については、その発表目的をおかすものではありません。ご理解をお願い致します。
尚、誤字、脱字・乱筆・乱文等に関しては、知識の無さと失笑下さい。