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福島第1原子力発電所 崩壊による放射性降下物の分布報告から

浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男
2011.11.19


(簡易測定方法について)


文部科学省による航空機モニタリング結果が平成23年11月11日発表になりました。


福島第1原発を中心に、半径450kmの範囲内、北は秋田県、岩手県、南は岐阜県までの範囲に存在する放射性物質を観測し、各都県別に発表した物です。


詳細は文部科学省の以下のアドレスで確認することが出来ます。


並びに天然核種の影響をより考慮した、これまでの






これらの観測結果には、自然界に存在する放射性物質からの放射線が含まれており、それらを除いた形での画像が最も適切な画像になりますが、当初大量に放出された放射性ヨウ素の分布はこれらの観測結果から見ることは出来ません。


放射性ヨウ素の自然界での崩壊時間が8日あまりと短いためです。


こちらの情報については、こちらからダウンロードした物を見ていただきたいと思います。





こちらは、アメリカのグローバルホークの観測結果で、日本国内で航空管制官が個人ブログ等で、違法的行為で紹介したルートと見比べることでいかに正確な観測であったかが証明され、日本の観測網の脆弱性が一気に暴露された瞬間でもあるので、どう言うわけか奥深くにしまわれ、探すのに時間がかかる場所にありました。



ここで皆さんに注目していただきたいのは、日付です。この情報は日本国政府には伝達されていたと言うことですが、何故か途中でパニックを恐れると言う理由なのか発表されることはありませんでした。私としては、出来る範囲内で情報の提供を皆様に提供してまいりましたが、国の報告は事故から余りにも時間がかかり、残念です。


今回の情報は、国内の団体により、ヘリを使用して観測しているので、誤差等もありますが信頼できる物です。当初の物には自然界の放射線との区別説明が無く驚いた方もあったようですが、今回の物は、それらの部分も修正され、正しく補正されているようです。


地表面から1m高さの空間線量率(参考1)


(写真 2011.1m.jpeg)



見ていただきますと、福島第1原発を中心に半径250kmに多くの放射性物質の降下があったことを見ることが出来ます。


また、富山県、岐阜県、長野県、静岡県の300km付近に存在する放射性物質反応は、自然界からの放射性物質の線量が主な物であることを確認しています。


但し、静岡県内において、多数の場所から放射性セシウムの報告がありましたが、不可解なのです。


今回の観測装置にはそれらが現れなかった ? 表さなかった ?


つづいての資料、セシウム134,137の沈着量の合計では、静岡県内では大きな数値が出ていないのです。(参考2)


(写真 2011.セシウムjpeg)



こちらでは、大きな汚染範囲は250kmまでになっているのに、なぜ静岡にセシウムの降下物が多いのか、今回の福島以前にも原発からの放射性物質であるセシウムの放出が無かったのか疑問になるところです。あまりにも浜岡原発を中心に風向きを考えると拡散方向や場所の特定がしやすく、今回の福島からの放射性物質だとしたならば、放射性物資の重さから言うと可能なのですが、静岡まで来る途中で放射性物質の降下分布ルートが無くなっているのです。伊豆半島にも強い放射性物質の反応があっても良いのですが、参考2の図から、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県等の放射性物質降下図でこの地域の農産物と比較しても、静岡県にはそれほどの放射性降下物があったようには見受けられないのですがなぜ、静岡で原子炉核反応時の出来るセシウム134.137の高濃度の農産物ができたのか、しっかりと解明する必要があります。風向きだとしたならば、どうやって伊豆半島を迂回したのか ?  おおいに疑問が残る結果であります。


また、群馬県、栃木県等の高濃度汚染地域についても充分な調査が必要で、早急に若年者の居住地の放射線量を明らかにし、被曝対策をとらないと、放射線被曝による健康被害が心配になります。


各県別に文部科学省より発表になっていますので、こちらのサイトからご確認ください。




放射線モニタリング情報(文部科学省)
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/monitoring_around_FukushimaNPP_MEXT_DOE_airborne_monitoring/


今回、放射線を確認している方法は、アメリカが行った無人偵察機グローバルホーク
に搭載されていた測定機材ほどの制度は無いようです。


何故ならば、各地にある原子力施設付近のデータが表されておらず、グローバルホークでは、各地に点在する原子力施設等からの放射線を確認することができましたが、今回の測定方法では、点在する原子力施設等からの放射線を確認することができていません。


このことから、自然界に存在する放射線量の基準値が偏っていることも予測できます。


ガイガーカウンターを個人等で購入した方々の協力をあおぎ、国内に多くの測定器がある今、時間をかけてでもよいから、ボランティアの協力をあおぎ、多くの地点での観測が不可欠です。


都内等で、放射性物質のラジウム瓶が発見された例もありますので、簡易ガイガーカウンターによる測定マップが必要になってきています。


高い数値の場所が発見できたならば、速やかに対策を立てることが可能な体制を確立することが急務になっています。


観測機材の精度
私のところで、観測している放射線量は、福島原発崩壊後からの測定値で、20年間の平均値と比較すると、9月までの最高値で10倍、現在は約3倍ですから、今回、ヘリで観測に使用した機器の精度は、測定器のガイガー管の長さが20㎝くらいのハンディー型測定器と同等の精度か、広域面を観測できたので少し上の精度程度と予測できます。


原子力関連施設の上空を通過しても、反応が記録できない残念な精度です。


逆に言うと、この精度で、観測された地域が、危険地域が入っている場合は、高濃度の放射線が発生していることが予測できますので、子供と、妊娠可能な人にとっては、非常に注意が必要な地域になっているのです。


そこで、大切になるのが、今回、個人等で購入された個人所有のガイガーカウンターです。
多くの皆さんの、協力で地道で結構ですから、データを持ち寄り、精度の良い、汚染マップが作られることを願っています。


セシウム134.137の沈着量の60kbq(ベクレル)から100kbq(ベクレル)維持用の地域は要注意が必要になると思われます。(参考図では水色地域以上の部分となります)
この地域での、植生については、農産物を含めて注意深く観測し、適正な処置が必要になり始めます。これ以上高い地域では、農畜産物等については、放射性物質の汚染が無いか出荷時に全量検査をすることを求めます。関係各機関は安全な農畜産物の生産ができるように的確な指導を行う必要があり、怠った場合は、消費者の信頼を失うことになると思われます。


個人的な、簡易放射線測定方法(参考になれば 誤差大)


簡単に、測定したい場合は、手持ちのガイガーカウンターで、簡易的ですが可能です。


水深50センチ以上の大きな透明な容器の中に測りたい、食材等とガイガーカウンターを密封した容器にいれ、水深20センチまで沈めて、測定してください。水の層の厚さが上下左右20センチあれば、α、β、の放射線は遮断できるので、最低10分間の観測が必要です。


なお、測りたい物が水に濡れているとガイガーカウンターは、壊れますので、予め防水処理が必要になります。タッパー等を使用し測定品とガイガーカウンターを入れ、さらに防水処理を行い、水中20センチに沈め固定します。(固定するにはアンカー等を予め沈めておき、ひも等で測定装置を固定します)使用する水は水道水で結構です。


測定前に、タッパー等にガイガーカウンターを入れ密封し、防水処理を行い、測定品が入らない状態で、事前に測定を行ってください。水深20センチでは、表示されている数値を直接読むことができます。


測定品を入れて測定した時と、入れなかった時の差が、測定品の持っている放射線量となります。これらの測定で強く出た場合は、直ちに研究機関等に持ち込み正確な測定を行うことをお勧め致します。


なお、これらの方法で測定中の事故、及び故障については自己責任で行ってください。


簡単な、放射線遮断方法を応用致しましたので、作業時には手袋をして、ゴミ等が付着しない対策が必要です。


くれぐれも、水にガイガーカウンターを水没させないでください。(感電の恐れあり)


放射線量の測定には、多くの人手と時間が必要になります。


地域ごとの協力体制を作り、ローラー作戦で汚染のマップの作成をすることをお勧め致します。少なくても、放射性セシウムの半減期は約30年、30年間は継続して、測定が必要になりますので、地域の協力が不可欠です。


私たちは、原子力発電の恩恵を受けて発展してまいりましたが、今回の原子力発電所の崩壊により、その恩恵と同じ時間以上に、復興に必要な時間と、犠牲を受けてしまいました。


今、私たちがとる対策が、未来に禍根を残してはなりません。


このことを忘れないで、次の世代にも伝えて行くことも大切です。



2011.11.21