2004 年は、太陽光発電を自宅にと考え始めてから振り返ると10年が経過し、いつの間にか棚には、10年間の懐かしい資料が沢山押し込められ、棚一杯になっていました。新年の初めは、懐かしい資料整理を行い、棚に新しい空間を作り研究を続けようと資料を片付けていると懐かしい資料とともに、太陽光発電の発電状態を随時記録した資料が出てまいりました。これは、東京電力のコンテ(1997年〜1999年)に参加したときの研究記録と実証資料・研究成果で、ある程度まとめてありインターネット(太陽光発電普及協会のホームページ)上で発表したものです。内容を確認したところ現在でも十分参考になり、太陽光発電中のインバータの制御情況を表しており、気象変化に対しての動きや働きをしっかりと説明している思いますので、今回、古い資料ですが発表いたします。
研究課題 「太陽光発電の実用性に関する研究」
委託研究課題 「中規模太陽光発電の実用性に関する研究」
(発電システムとインバータの特徴)
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また上記の研究発表とは別に10年間の太陽光発電実施の実績から次の項目について、今一度確認するとともに、10年前を振り返って見たいと思います。
上記の内容についても、私なりの見解を公表いたします。
晴天日の安定発電情況の図を見ていただくと解りますが、発電開始から10時までと、2時頃から発電終了までは滑らかな弧を(発電量が少ないため)描き、10時以降午後2時頃までは滑らかな弧になっておりません。これは、インバータに接続している太陽電池からの出力が一定でないことを表しており、インバータの電圧制御プログラムにより、最適電圧を常に検知して作動しているために現れた現象です。種類の違う太陽電池を組み合わせて使う場合は、太陽電池の特性がそれぞれ違うので、太陽電池ごとの最大電力が違い、同じ出力パターンが表れず、ピーク出力パーターンが重なりあう事になります。このような場合は、最大電力追尾を備え常に最適電圧を確認しながら作動する事が重要になります。このようなプログラムが一般家庭のインバータに組み込まれたならば、太陽電池の種類を複数組み合わせた発電が可能となり、インバータの寿命を長くする事になると思います。
「太陽陽電池の寿命は」の質問をよく受ける事がありますが、浅川太陽光発電所で実験に使用している太陽電池は、製造後20年以上経っているにも拘わらず出力低下も起こさずに発電を続けています。太陽電池の寿命は、化学的変化の酸化作用の進行状態により、安定したり不安定になります。一般的に考えると単結晶の物ほど安定して、アモルファス結晶に近いほど安定しないと考えられています。しかし、太陽電池(セル)の表面処理方法により劣化作用がある事も確認されています。これら2つの場合も、太陽電池が一般生産され始めて、間も無いために実証経験が少ないのが現状です。太陽電池自体は硝子と充填材と保護幕によりサンドイッチ状態になっていて、酸素の供給が断たれた状態で製品となっているのですが、化学的に不安定な状態の結晶は、酸素の供給が断たれた状態であっても化学的変化が進行し出力低下につながる事が予測できます。又、太陽電池メーカーのセルの処理工程において、シリコン等の表面処理方法により、太陽の光を捕らえる波長の違いにより、太陽電池の出力変動が起こる場合もあります。今は、一般家庭に導入され、それぞれの条件が違う場所で、発電を行い実証経験を積んでいる期間と考える事もできます。当初の太陽電池保証期限は20年でしたが現在は10年になっているようです。
冒頭説明しましたように、しっかりとした物を作っておけば、10年や20年では壊れる事が無いのが太陽電池と言えるでしょう。近頃、太陽電池が不要になった場合に産業廃棄物として処理方法を考えておく必要があるのではないかとの質問もありますが、私どもは、個人、法人、を問わず不必要になった太陽電池は(物理的に破損している物を除き)再利用が可能なので、原則無料(運搬費は別途)で引き取る事にしています。太陽電池としての作動が確認できる物は全て利用いたします。又各太陽電池生産メーカーも不要となった太陽電池は製造責任がありますし、ISO14001があるので不要太陽電池の引き取りを行うはずですし、破損した太陽電池は分解すれば再資源として利用できます。 引き取りを拒めばEUでは環境保全に協力しない企業とみなされ商売できません。
太陽電池は、再循環システムに取り入れやすく、繰り返し使用する事で環境保全につながり、太陽電池としての製品寿命より再循環システム寿命を考えると資源としても有望で、太陽電池自身の寿命も延ばす事につながると思います。
太陽電池を設置した場合の環境変化や日陰部分の利用や、効果については違う機会にまとめて発表したいと思っております。
浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男
2004.01.15
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