太陽光発電ビジネス「固定価格買取制度」の充実と問題点
太陽光発電所ビジネスは儲るのか?・・・20年間を振返る。
浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男
1994年、自宅に太陽光発電所を立ち上げて、20年が過ぎようとしている。
この20年間を振返ると、まさに、太陽光発電事業の起業は、政治の狭間を見極め、道を切り開く、まるで、土木工事の道作りに、似ている。
(私が、土木技術系なのかもしれない)
2009年11月より、太陽光発電からの買い取り価格1kWh当たり48円〜
2014年(平成26年度)の買い取り価格は1kWh当たり32円+税となっており、各、年度ごとに、買い取り価格が見直されています。(10kW以上の設備)買取期間が20年間と長いので、安定した収入になることから、多くの一般投資家が出現する結果となり、特に50kW未満の設備が急増した。
当初は、儲る?、のかが疑問で、遠目から半信半疑で見ていたが、実際にその収支が知れるところとなり、一挙に広がりを始めたのです。
「固定価格買取制度とは、再生エネルギー利用と銘打ち、太陽光発電ビジネス等が、急速に広がることを前提に、固定価格買取制度を実施し、一定期間ごとに買取り価格を見直し、幅広く再生エネルギーのビジネスを展開し、将来は、火力発電所の発電単価より、低い価格で買い取ることを目標に、買取り価格を設定して行くことを基本の考えとして、再生エネルギーの利用を求めて行く案である」
今回、買取制度において、買い取り価格が高価格のうちにビジネス展開をと、急ぐ、比較的簡単な太陽光発電ビジネスとして50kW未満の低圧連系が急速に広がりだし、それにともない問題も発生しており、一般投資家が、安易な事業主になることにより、事業主責任を問われる事案も多々みうけられ、こちらに対して、関係機関から警告が発せられています。
参考アドレス 資源エネルギー庁 「なっとく!再生可能エネルギー」
14.05.19 設備認定〜PDF をご確認下さい
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/
今回、多くの太陽光発電所が出現した中において、問題となったのが、地域特性を利用するあまり、広範囲な土地を複数分割し、できるだけ、建設コストを下げた太陽光発電所を建設したために、自然界からの警告ともとれる影響を受け、問題(豪雪により倒壊・豪雨により土砂流出、等)が発生する事案が多数有り、事業主と、設置業者の間で保障トラブルが発生・周囲との景観を損なうとして周辺住民の不満なども発生している。また、一部においては、電力網の系統電圧に異状をきたすとして、電力網への、太陽光発電所からの給電(売電)を見合わせる措置をとったために、太陽光発電所の運転ができず、借入金(借金)で建設した発電所からの売り上げが期待できず、資金繰りに苦慮している事案も発生している。
今回の、買取制度を支える資金源である電力消費者負担(一般家庭等)に至っては、均等に負担金を負担しているように見えるが、太陽光発電を設置している方は、恩恵を受け、設置してない方は、恩恵を受けていないと不満をつのらせている方もいるが、今回の買取制度は、再生エネルギーの普及を目的として、太陽光発電等(再生エネルギー発電等)からの電力を買取る資金を、広く消費者に負担していただき、再生エネルギーの普及を目指すので、必要に応じて、買い取り価格を見直し、一般消費者の負担を軽減して行くとしている。と説明をしたいのだが、納得がゆかない点がたたあり、参考になるパブリックコメントがあったので参考にしていただきたい。
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等」に対する意見募集の結果について
こちらの、関連情報の別添のPDFをお確かめ下さい。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620114008&Mode=2
こちらを読み進むにしたがい、質問が業者目線であることが多く、一般家庭用との根本的違いについて、質疑がなされていないのが、残念である。
10kW以上の設備からの買取期間は20年と決定されて、ビジネスが立ち上がり、その一方の、家庭用とされる10kW以下の設備に対しては、買取期間10年としている点である。当初は、家庭用については、補助金等があり、同程度に優遇されて来たが、家庭用の補助金がなくなると、買取期間10年では採算が取れなくなる恐れが発生している。特に、補助金制度が無くなるにしたがい、買取期間が10年と短い家庭用は、採算が取りにくく、設置方法の違いから、事業用の太陽光発電所の設置価格よりも、高額になっている住宅用の太陽光発電システムは事業用の20年間の買取期間と比較して不公平が発生しているので、住宅用も買取期間を20年間に移行しても良い時期に来ている。
反論
大規模な発電施設、メガソーラー等の設置価格に比べて、一般家庭の設置価格が高価格帯にあるためと言われている。現在の買取価格では、メガソーラー発電所の建設コストは1kW当たり30万円前後でなければ採算がとりにくくなっており、対応策として、建設コストを下げながら、発電効率の高い太陽電池を使用し、増加する建設コストを、発電量でカバーする方向に動きつつある。
一般家庭でも、高効率の太陽電池を使用する家庭も増えているが、設置価格の高騰に繋がりやすく、発電効率の低い太陽電池を高額でさばく、悪徳設置業者の温床となっている。特に10kW以上50kW未満の設置に多く見られる。
これからは、太陽電池の発電効率に注意が必要で、住宅用補助金制度下では、一定の発電効率を求められていたが、補助金制度が無くなり、一定の発電効率以上の性能を求められなくなると、安価と言うことで、低い発電効率の太陽電池を売りさばく業者が多発すると思われる。
粗悪工事の事故発生を懸念した太陽光発電協会では注意喚起を、やっと呼びかけだした。
http://www.jpea.gr.jp/ 業界ホームページ
ガイドライン
太陽光発電システム保守 2014.05.30を参考に
後手に回る結果となったが、今回の注意喚起は、施工・工事面だけに注意を呼びかけているわけではないので、周囲の環境面にも注意を払い、周辺とのトラブルも考慮した施工や工事を求めていると言ってもよい。
これらのことから、太陽光発電ビジネスで成功するには、優良施工業者を選び
マイナス要因をできるだけ排除した、太陽光発電所を設置することが発電事業者に求められている。
大規模太陽光発電所建設時の注意
各地に、大規模な太陽光発電施設メガソーラーが完成しだすと、各地域の設置特性を熟知していない大規模太陽光発電所が、自然界からの猛攻を受けている。
当初の、メガソーラー発電所は、環境アセス等を行い、慎重に設置検討を行っていたが、収益が先行する近頃では、本来設置は不向きとされる場所にまで、大規模太陽光発電所メガソーラーを建設して、風・水・降雨・積雪害の影響を受けて、建設まもないメガソーラー発電所がピンチを受けている。
昔から言われている土地の名称を理解せず、広大な土地に太陽電池を設置したが、ために、風水害の被害に遭い、メガソーラーの運営まで危機を招いている。
また、予想をしていた以上の発電性能で機器のトラブルに直面したところもあり、これらは随時対応ができるが、メガソーラー建設を急ぐあまりに、設置資材の強度を甘く見ていたり、太陽電池の取り扱いの基礎技術を、理解していない業者に施工運搬をまかせたりしている現場を、多々見ることが多いのが、気になります。
特に、太陽電池の運搬時に、積み替えを行い、ユニック車に3パレット積みで運行しているのを見ることがありました。ユニック車の2台に2パレットを載せ、2パレットの上に板材を載せ残りの1パレットをその上に積み2段重ねで運搬しているのを見た時には、驚きました。支えになっている2パレットは、間違いなく、運搬時の衝撃でマイクロクラックを発生しており、この時運ばれていた太陽電池を設置した発電所では、発電開始後3年以内で出力低下が発生すると思われます。不幸・不運な業者と契約したとしか言いようがありません。
基本的な、太陽電池の取り扱いについて理解していないと思われるのが、特に、メガソーラーよりも小さい現場に多く見られますが、メガソーラーの現場では、太陽光発電所建設に熟知した、現場監督が在中していれば問題は無いのですが、無いとも言い切れません。
自然災害で、注意すべき地名は、元々の地名に、風、川、水、池、林、等の文字が古くから使われている場合は、要注意です。
近くに、特高高圧送電線が無い場所、これは風の影響を強く受けることが予想できますし、施設を連系する場合に費用がかかりすぎます。
いくら、日当りがよいからと言って、山腹の傾斜角を理解しないでの設置や、用排水路を確保せずの開発を行い、後に、地滑り等の原因を造る施設などが有り、土木理論を知らない業者の多いのには、驚かされます。
太陽電池を土地に設置すると言うことは、その面積に屋根を掛けているのと同じなので、今世紀のゲリラ豪雨等の影響力は計り知れない物があり、注意どころではなく、殺人にまで繋がりかねませんので、施設の所有者には、全責任が発生しますので、リスクの確認注意が必要です。
太陽光発電所の儲け方
太陽光発電所で成功するには、高収入で早めの減価償却を行い、収支が増加するのをいかに乗り切るかになります。
最も、良いのが、自社所有地に自社資金で自社管理下での発電事業となり、20年以上の発電を続けるために、20年以上収入を確保できる太陽電池で、数年ごとの機器の入れ替えや、メンテナンスを自社で行うことが最良の条件となります。
私の所で20年間に及ぶ発電事業を実施して来た経緯から申し上げます。
20年以上太陽電池は保っているのですが、この間、太陽電池を製造してきて、生き残っている会社は、私の知るところでは、国内では、6社くらいで大手の、シャープ、京セラ、社名変更で、パナソニック、ソーラーフロンティア、あと、海外の会社との統合で社名変更した、サンテックジャパン1社、OEM、及び太陽電池製造販売会社、ケー・アイ・エスが1社と言う程度です。
あとは、国内の研究機関となります。
現状をご理解いただけますか?
よほどの計画性がないと、20年間会社を維持するのは難しいのです。
では、海外メーカーで、20年以上製造販売を行っている会社は、EUメーカーで、イソフォトンやBPソーラー、GE、サンパワー等で、ごく数社になります。
今、太陽電池製造で、トップを走っている中国メーカー各社は、何社が生き残るのであろうか、ここで紹介している各社も中国メーカー等にOEM製造をまかせているので、ここで紹介しているからと言って、20年間会社が保つとは保障できませんので、ご承知置き下さい。ここ数年で、太陽光発電製造メーカーの世界規模の大編成が始まると思われます。
現在、乱立している太陽電池メーカーで、20年間、生き残れる会社が何社いるのでしょうか、密かに、私の、これも楽しみの一つである。
太陽光発電で、販売で儲けるのか、設置で儲けるのか、どちらにしても、20年と言う長期に渡る、メンテナンスが出来る会社により、建設されることが第1です。メンテナンスを必要としない、機器や事業は無いのです。
信頼できる、事業パートナーを選び、経験者のアドバイスを基に、事業を起業しない限りは、20年間掛けての博打となります。太陽光発電事業は博打ではなく、起業なので、事業主としての責任から逃れることは出来ません。建設業者であれば、受注が少なくなれば自己破産をして会社を絶たみ、責任から逃げることができますが、太陽光発電所、所有者には、固定価格買取制度を利用して起業している方は、事業終了の最後まで責任があるのです。
20年間ですので、個人の場合は、民事手続きにより、相続者にその責任が及ぶことも覚悟してください。
私が最後に建設した、浅川第5太陽光発電所で、現在7年を経過し、20年経過まで残り、13年、この間は、生きていなくてはならず、生存ための健康管理にかなりのウエートを占めるところとなっていますが、私にはいつでも事業を終了することができるのです。何故ならば、全て自己資金で行った事業ですので、事業継続資金だけ用意している間は、太陽光発電を続けることが可能です。
起業するのですから、このくらいのことは皆さんご存知のことと思いますが、安易な考えで、起業展開している出力50kW未満の方は、RPS法で保護されません。まして、PPSの資格もありませんので、ご注意下さい。
PPSの制度が発足し、制定した時には個人で、この資格に該当していたのは、私の他に、あと一人居られたと記憶しています。起業するのであれば、是非PPSの資格出力までの発電所出力の発電所をお持ちすることを御勧め致します。
これが、これからの太陽光発電所を経営して行くための最低条件になると思われます。
まだまだ、沢山、紹介したいのですが、今回は、ここまでと致します。
これらの文章が、皆様のお役に立つことを願っております。
誤字、脱字、乱筆、乱文には、ご了承下さい。
浅川太陽光発電所
2014.06.08