太陽光発電と降雪対策2014.02.14豪雪
太陽光発電20年・自然からの警告
2014.03.03
太陽光発電を初めて、20年目の2014年春、今までの予測を上回った豪雪にみまわれ、太陽光発電設備に多大な被害を被りました。
この大量の雪 雪の重みで潰された近くの発電所
(自宅では、150センチ超えの積雪)
短時間での大量降雪により、降雪後3日以内に除雪を行わなかった発電施設は
雪解けと凍結の繰り返しにより、降雪による圧雪被害を受けた農業ハウスと同じ運命にあった。
今回の被害の中で、固定価格買取制度にともない、実績の無い施工業者が施工した太陽光発電施設や、基本的土木知識を持って無い業者と思われる業者が設置した太陽光発電施設に倒壊や崩壊している例を見ることができました。
前回、強風対策を考えない施工例による、被害を紹介致しましたが、今回は豪雪に関しての太陽光発電施設における被害についてと、経年年数を重ねた太陽電池に被害が私どもの太陽光発電所においても確認でき、この現象は国内製品と海外製品とも過年代(10年以上)の太陽電池に集中して、起きているのが見受けられましが、固定価格買取制度開始後の太陽電池パネルでは確認できておりませんが、どちらも、降雪被害を受けていながら発電を続けている。
今回の、豪雪による太陽電池パネルの破損は、押しつぶされた発電施設でも発電をしているので、施設所有者、又は、施設管理者は感電事故防止のために、事故回避の安全処置をとり、早急に施設の復旧に努めるべきである。
各施設が、復旧を始めたのが、降雪から2日後からで、施設管理者が遠方の場合は、道路事情などにより、復旧除雪に取りかかったのが5日後であった。
私も、自宅から出られるようになったのが3日後でした。
では実際に降雪時の山梨の状況をネット上にあった航空写真から見てみます。
降雪後2日ほど経ったところで、甲府盆地が雪に埋もれた湖のように見えます。
この写真が発表された時点では、自衛隊の災害派遣要請は出ていなかったようです。この写真をネットにアップしていただいて、今回の豪雪の規模を再確認することができました。(情報提供者に感謝)
今回の、大雪は、太陽光発電所の保守管理と言う面で、多くの教訓を教えてくれた自然災害です。特に、太陽電池の設置と雪害に対しては、私が考えている以上に、沢山の情報を得ることができ、今後の設計に多いに役立つものでした。
特に、大型パネルの雪害による損傷は、当初から懸念され、各社がそれぞれ対応され、研究されていましたが、今回の大雪で、私どもの発電施設も実際に被害に遭い、現在、各地で設置指導している太陽電池パネルの、新しい設計方法が正しかったことを証明する結果となりました。
特に、太陽電池パネル表面に懸かる雪の重みと、融雪と凍結を繰り返すことと、圧雪により外枠の破損が生じたりする限界積雪量を知ることができ、参考になると同時に、被害復旧に係る費用の算出もでき、太陽光発電所の運営について、多くの教訓を得ることができた豪雪でした。
ここで特出すべき、事例等を写真や注意点を上げて、今回の報告のまとめと致します。
屋根からの落雪(一般住宅編)
こちらは、降雪から一夜を過ぎた私の家の状態です。
太陽電池に、一定の勾配を付けて設置してあり、雪の自重により発生する滑り抵抗のおかげで、積雪が50㎝を超えた場合と、気温がプラスの3度以上になった場合に
積雪は滑り落ちますが、雪の落下地点では、車も大破しますので、落下地点には近づかないこと。
今回は、150㎝を超えておりましたので、3日後、近くの太陽光発電施設宅でも、雪下ろしをしていましたが、屋根の上は非常に危険なので、あまりおすすめはできません。太陽電池を屋根に載せてあるお宅では、落雪事故に配慮が必要です。
最初は、ふかふかの雪でも、日数が経つと、屋根との設置面が、氷になり、滑り易くなっておりますので、さらに危険になります。
浅川第2発電所においての被害
こちらの発電所においての被害は、当初より危惧されていたのですが、積雪が1m以内であれば、被害は発生しないのですが、今回は1.5m以上のため、危惧されていた、太陽電池の外枠が外れる被害が発生致しました。
こちらは、傾斜角により、積雪はずり落ちるのですが、先端部分に圧雪が集まり、上部で融雪した水が、下部で凍結し、先端部分に思わぬ力を与えることになり、先端部分のアルミフレームが曲がり、外れてしまう現象が発生。
外枠が写真のように外れてしまっていますが、発電には支障をきたしていませんが、さらに雪が降り、再度雪の重みが懸かると、太陽電池パネルまで破損してしまい、発電はできなくなります。こちらの枠が外れたパネルは、使用年数が15年を経ており、対策を求められていましたが、今までの経験から、1m以上の積雪は無いと判断して、あえて、降雪対策を行っておりませんでした。(罰が当たった)
1m近くの積雪があった場合は、できるだけ早く、除雪をすれば防げた被害ですが、今回のような大雪では、こちらに到着するまで4日以上かかりましたので、このような被害になったのです。
太陽光発電施設を運営する場合は、1m近い降雪があった場合は、速やかな除雪を行い、太陽電池パネル先端に荷重が懸からないようにすべきです。
近くの、高圧連系太陽光発電所
降雪から、9日目の
太陽光発電所
積雪量は、だいぶ減少していますが、未だ発電はして無いようです。
この日を境に、各地区の大規模発電所の除雪作業をしている姿を見ることができました。
大規模になればなるほど、早期の発電が収入につながるわけですから、早めの除雪が施設のためでもあり、収入確保の第1条件となるので、このあたりの施設運用方法が降雪地域への配慮になります。早い所では、降雪から3日後には除雪し、発電をしていました。
倒壊発電所・・・・事例
こちらの写真の倒壊発電所を検証して観ると、まず驚くのが、
○1 基礎が持ち上がっていること。
(通常、このタイプは地中に半分は埋めるか、倍の体積を持たせるべき)
○2 架台がアルミ架台であること。
(荷重強度モーメント計算や移動荷重に対しての強度が不足している)
○3 基礎間が空いていること。
(風圧計算だけの荷重に設計になっていること)
以上の点からしても、強度不足であることは明確であるが、生き残っている部分もあるので、早期の除雪を行えば、救えたかもしれない。
今回の、大雪は、雪質が水分を多く含んだ雪でなかったので、倒壊を免れた発電施設確認することが多く、もし、今回の雪が、水分の多い雪であった場合は、かなりの発電所が、このような状態になったと予測される。
今後、機会を得てこれらの調査をしてみたいと思います。
落雪や、感電事故には細心の注意をして、発電所での除雪は望むべきである。
浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男
2014.03.03
乱筆、誤字、脱字等あると思いますが、これら情報が、これからの太陽光発電に寄与することを願っております。