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固定価格買取り制度の行く先

2012/12/27・・テレビ東京 WBSスペシャル「新ニッポンの針路」
テレビ討論の中で新政権政党・・買取制度抑制か?



このテレビ放映を同時見ていた太陽光発電事業者は驚愕したことだろう。
私が感じたことは、平成24年度から開始された固定価格買取制度の早期の見直し、買い取り価格の大幅引き下げを暗示する新政権の回答であった。


2011/03/11が有り、「再生可能エネルギー特別措置法」が施行され、自然エネルギーを利用した発電事業が、国内でも本格的に始動するはずであったが、その期待は政権交代とともに、大手電力会社救済へと舵を切る討論であった。


国内にある、原子力発電所の再稼動に向けて道筋を作ろうとしているのがテレビ討論から見ることができた。


特に、彼らが言っていたのは、このまま自然エネルギー利用の発電が増えれば、国民の負担が増え続けるので、経済的にも福祉的にも消費者に負担を増すので買い取り価格制度の見直しが必要と言う感じの回答を仕向けていたことである。
更に、具体的な値下げ価格までこの討論の中で示唆し、周囲を驚かせた。
口頭では、言ってはいなかったが、原子力発電所が発電を開始すれば、電力料金は下がり、経済的にも福祉的にも負担が増えることは無いのでは、と、取れる発言をしていたことである。
唯一、日本経済の中で輝き、復興の起爆剤として動きかけていた、現在の太陽光発電所建設フィーバーに冷や水を浴びせ、その行き先に見事に暗雲を立ちこめさせ、原子力ありきの政権姿勢を、ほんの20分程度のコメントで、番組内でサラッとやってのけた新政権内のコメンテーター。その中には、私の知る人もおり、驚いて見ていると、司会者が次の論議に急いで誘導していた。思わぬ展開に司会者も慌てて、時間配分として論議をすり替え、話題を変えていたが、太陽光発電にかかわってきた私としては、この番組での論点は、新政権が国民の半数以上が反対している原子力発電所の再稼動に踏み切る姿勢が隠れているのを垣間みる事ができた。
今回、やっと始まった自然エネルギーの本格利用に対して、新政権は、自然エネルギーを利用した発電事業の育成期間を早めに終了して、原子力発電所の発電コストと同等の価格にすべき、と取れる発言を繰り返し強調。新政権の本心が垣間見えた。
新政権で同席していた他のコメンテーターが、この論議の重大性に気付き、途中で慌てて、再処理費の算定も入れた上での検討課題にすべき、と締めくくっていた。
この時点で、太陽光発電所を運営している私は、新政権下では、新規の太陽光発電事業は、買い取り価格の大幅な値下げを覚悟して、新規の事業に参入することを求められていることを、明確に実感することができた。


しかも、2012年10月以降、電力会社に系統連系の申請をしても、数ヶ月待ちの情報を意図的に流し、下準備をしていた大手電力会社は、年末選挙でその効果を実証してみせたのであった。特に情報誌等の記事の中に有ったIPP事業者(10kW以上の設備者)の法的立場の危うさをまざまざと、年末のテレビで新政権は見せつけたのです。
これについては、大手電力会社の仕込み勝ちで、新規の発電事業者の排除をしつつ、揺るぎない大電力消費経済を押し進め、大手電力会社(電事連等)の安泰を示した策戦であった。(この時点で、託送分離は亡くなったと見るべきか)
今回の、やり口は、RPS法決定時に、葬り去られた「自然エネルギー導入促進法」と同じ道筋を、再生可能エネルギー特別措置法の買取制度がたどらないことを祈るのみである。


買取制度の見直しについては、各年度ごとに、と新政権のコメンテーターは言っていたが、今までの法的措置では、3年を一つの区切りとしてみ直すことが定説であったが、各年度ごと、となると、その事務量は膨大になるので、系統連系の申請審査が現在滞っているのもうなずける。


電力会社や新政権の考えとしては、3月を基準に、選挙を意識した7月頃には消費者や経済・福祉を重視し、国民生活に直結した電気料金の値下げと銘打ち、再エネ発電賦課金等の分を圧縮して、国民の負担を軽減したとして次の買取り価格を決定したいのであろうが、本当にそうで良いのであろうか?


国民の大多数が、2011.03.11において、原子力発電の危険性を熟知しており、地震大国である日本列島各地に点在する原子力発電所全てが安全であるとは、国民は誰も言わないし、思わない。
新政権下では、エネルギーの多様化は語られるが、国民の生命や財産の安全性からは、今回の発言から、距離を置く結果となることが予測できる。
原発が安全であると言っているのは、経済救済策と主張している経済界と大手電力会社だけである。


高過ぎる買い取り価格?


今回の、討論の論戦であった、買い取り価格が高過ぎるとして、事例に挙げていたヨーロッパ各国の買い取り価格は、当初、80円〜70円位、さらに経済的理由から40円位に段階的に引き下げられ、今日に至っております。日本の買い取り価格からは、出発点で諸外国の半値(40円)から出発しており、何をもって、買い取り価格が高過ぎると、主張している根拠が判断しかねる言動であった。
日本版、買取制度では、数年ごとに見直をして、買取り価格を値下げして行くと決定されていたのにもかかわらず、いきなりの現行価格から半値以下の価格(20円以下)に実施する必要が有ると主張し続けた新政権のコメンテーターは、よほど電力・経済界関係の支持を受けていたのだろう。


当初の買取制度では、国民の負担分は一般家庭で月額500円位を予想して、買取り価格を設定していたのにもかかわらず、月額100円位まで上昇したならば、太陽光発電からの買取り価格を現在の半分以下にする必要があると主張した、新政権コメンテーター。(買取制度の仕組みを理解していない発言)


今回の買取制度の見解であった、一般平均家庭の出費は、電力料金プラス月額500円以内にする。このために、一定期間を区切り、その都度、設備量から買取り価格を決定して行くとした買取制度の主旨に反する主張であった。
新しい産業の目を摘む新政権コメンテーター。
自然エネルギー利用の育成を行い、国際的に自然エネルギー利用大国としての産業育成を行い、国際市場へ向かうとしていた新産業が可能になりつつ有る最中での発言。(日本の産業を統括する組織に暗雲とならねば良いが)
このような発言をした新政権コメンテーターは、直ちに組閣から外すべきだと考えるが、人材がいないのであれば、それは、しかたの無いことである。
日本の産業界が集束し、新たな産業を生み出すには、まだ苦難の道のりが有り、自然エネルギーを利用した新産業経済を確立し、采配するのには、ほど遠い人材のようである。

浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男2012.12.29



PS
これらの所見は、私個人の所見で、経済界と政界の繋がりを読み取った物です。
多くの考え方が有ると思いますので、太陽光発電所を経営する方は、あらゆる困難を想定して、対応できるように準備を怠らないことを望みます。

尚、本文中は、誤字脱字、乱筆乱文になっておりますので、私自身混乱をしている中で、書き上げましたので、資料にする場合はご注意下さい。